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PAIFが20年にわたり実現してきた低コストかつ安定した運用

ABF汎アジア債券インデックス・ファンド(PAIF)は、2025年に設定20年目を迎えます。アジア債券市場の発展を支え、8つのアジア市場(中国、香港、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)の政府および準政府機関が発行する現地通貨建て債券を対象に分散化された低コストの投資手段を提供することを目指し設定されました。当ファンドはMarkit iBoxx ABF汎アジア指数に連動する投資成果を上げることを目標としています。本稿執筆時点で、PAIFの純資産は合計37億ドル1、保有銘柄数は617で、国/地域・通貨は分散しています2

PAIFは1つの取引で幅広いエクスポージャーを提供

投資家が均等に構成されたポートフォリオを構築するために現地通貨建て債券を直接購入・保有しようとする場合、複雑でコストがかさむ可能性があり、そうした背景もPAIFが発展した要因の1つです。PAIFは普通株式と同様の方法で、通常はブローカーを通じてユニットを売買できます。

PAIFは、ポートフォリオの構築に際して層化抽出法を用いており、ベンチマークを表す、十分に分散されたポートフォリオに投資することにより、ベンチマークと同様の特性とリターンの達成を目指します3。2025年4月30日時点で、PAIFの1年間の年率リターンは11.2%となっています4

現地通貨建て債券市場は力強く成長中

新興東アジア諸国の現地通貨建て債券市場の価値は2024年に9.6%増加し、26兆3,000億米ドルに達し、成長ペースは米国や欧州を上回りました5。中でも成長が最も急速だったのはベトナム(18.9%)、次いでインドネシア(16.7%)でした6

成長する経済と高水準の利回り

アジアの債券は通常、欧米の債券より高い利回りを提供します7。アジア経済は安定性を増しており、国際通貨基金(IMF)は2025年4月の「世界経済見通し」で2025年のアジアの成長率は4.5%になると予想しています。これは米国やユーロ圏の2025年の予想成長率(それぞれ1.8%、0.8%)を上回るものです8

他の債券投資との低い相関性

加えて、PAIFのリターンは他の投資の選択肢と比較的相関性が低いという魅力的な特徴があります9。投資資産間の相関性の低さは、ポートフォリオの分散化を助け、ボラティリティを抑えるのに役立ちます。

貿易関税が地域の成長の足かせとなる可能性

PAIFは設定から20年にわたり様々な市場/地政学イベントを乗り越えてきましたが、足元で直面しているのは米国による新たな関税制度の導入です。中国に対する米国の非常に厳しい輸入関税率は145%から引き下げられ、現在はわずか30%となっています。米国からの輸入品に対する中国の関税率は125%ではなく10%になるでしょう10。全体的には、こうした関税とそれに伴う不透明感は貿易の足かせとなります。協議は継続中であるため、最終的な関税率は依然として不明です。

顧客が関税政策の動向が明らかになるまで購入を先延ばしにするなか、最近の中国の経済データは新規輸出受注が急激に鈍化していることを示しています11。中国では工場の稼働も鈍化しており、中国国家統計局が発表した4月の製造業購買担当者景気指数は3月の50.5から49に低下しました12。指数が50を下回ると景気の縮小を示します。中国政府は景気下支え策を複数発表しており、その中には、輸出業者への融資支援や国内消費の活性化策も含まれています13

PAIFは相対的に低コストで流動性が高い

全般的に、PAIFのような上場投資信託(ETF)は、アジアの経済機会を利用できるように低コストでシンプルな投資手段を提供します。この20年間変わらないことの1つは、インカムおよび相対的な安定性を求める投資家にとって、PAIFが引き続き魅力的な存在であるという点です14

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